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英検1級英作文問題の参考書、旺文社の英検分野別ターゲット 英検1級英作文問題 改訂版を読んだので感想を書いていきます。
Contents
2016年度以降の新形式に対応
旺文社の英検1級英作文問題は以前からありましたが、2016年度以降の新形式に対応していませんでした。今回、改訂版として新形式に対応しました。
新形式では POINTS がなくなり、求められる語数が「200語前後」から「200~240語」に増えました。
英検分野別ターゲット英検1級英作文問題 改訂版 (旺文社英検書)では模範解答が練習問題と模擬テストとして合計 13 あります。それぞれ Negative と Positive の両方あります。
それぞれの模範解答は 220~240語程度あります。しっかり新形式に対応しています。
英検分野別ターゲット英検1級英作文問題 改訂版 (旺文社英検書)の構成は Chapter 1 ウォーミングアップ、Chapter 2 練習問題、Chapter 3 模擬テスト、別冊 時事解説 & 単語ブックとなっています。
一つずつ見ていきましょう。
Chapter 1 ウォーミングアップ
英検1級英作文問題についての解説、エッセイについての基礎知識から実践方法、よく使う表現、高得点を目指す方法が書かれています。
英検1級英作文問題 改訂版の特徴の一つがこの Chapter 1 にあると思います。なるほどと思うことも書かれていますので、一読の価値はあると思います。
文と文のつながりをスムーズにする接続詞や副詞が効果的に使われているかとともに、各パラグラフが1つのまとまった主張になっているかも重要です。
無生物主語や受動態を使うなど、多様な文を用いることで、読み手の興味へのアピールとなり、効果的に意見が伝えられます。
英語で意見や考えを問われた場合には、必ず「理由」が添えられます。
TOPIC を考える際、賛否両方の立場を考慮することにより、エッセイがより説得力を持つ
言い換えをすることによって、「語い」での評価も高くなる
試験本番では問われた内容にそれぞれ、肯定、否定の立場を決めてから書くようにしていました。
本書では、これだと表現の幅が狭くなってしまうので、肯定、否定それぞれの POINTS をあらかじめたとえ日本語でもいいので書き出していくと良いと説いています。
本書は英作文問題の参考書ですが、面接にも役立てられると書かれています。
面接では自分の主張に対して、質疑応答で面接官が逆の主張の正当性を言われ、説得力を持って自分の主張を貫いて回答する必要があります。本書のように肯定/否定それぞれの立場を考えて英作文に望むことは、英作文はもちろんのこと、面接についても有効だと感じました。
そして自分はどちらが書きやすいかを考慮し、たとえ自分の考えと違っていてもいいので、一貫して書いていくことが重要だと言えます。
「エッセイでよく使う表現」は英検1級を受験する方ならすでに知っている表現ばかりではありますが、まとまって書かれているので、表現が思い浮かばなかったり、同じ表現で単調になってしまうときにこのページの解説は役立ちます。
「高得点を目指すエッセイとは?」ではビフォー、アフター形式で、改善前と改善後のエッセイが解説付きで書かれています。合計3題あります。
ビフォーのエッセイでもそれなりに書かれていますが、より合格を確実にするための秘訣や、注意点を解説しています。
Chapter 2 練習問題
練習問題は、社会、教育、サイエンス、国際、環境、サイエンス、国際、政治、ビジネス、社会のトピックについて、模範解答が Negative と Positive の両方書かれています。それぞれに日本語訳と解説がついています。
一部にはミニクイズとして文法問題があります。
社会、サイエンス、国際については2つのトピックがあります。
解説の一部を以下に示します。
正確な国名や破綻状況のデータなどを示すことができればなお良いが、英検1級の英作文問題においてはそこまで求められていない。一般的な知識として例を挙げられれば十分と言える。
あえて少数派の立場で書くのも1つの作戦である。ユニークな意見は採点者に好印象を与えることが多いからだ。
Chapter 3 模擬テスト
模擬テストが3題あります。社会、国際、サイエンスです。
基本的には Chapter 2 と同じように、Negative と Positive の両方の模範解答に、日本語訳と解説があります。違うのはミニクイズとしての文法問題がないことです。
Chapter 2 と Chapter 3 を合わせて合計13題あります。ジャパンタイムズの類書「最短合格! 英検1級 英作文問題完全制覇」には30題ありますので、英検1級英作文問題 改訂版はその半分もありません。一方で「(MP3音声無料DLつき)最短合格! 英検1級 英作文問題完全制覇」にない問題もありました。似たような問題もありますが、全く違う問題は以下のトピックです。
Agree or disagree: Electronic voting should be promoted
Agree or disagree: Overseas outsourcing countributes to the sustained development of the global economy
Do the benefits of promoting tourism outweigh the disadvantages?
別冊 時事解説 & 単語ブック
英作文問題・二次試験に頻出の時事トピック30 のダイアローグ、解説と語い、フレーズが掲載されています。
ダイアローグはそれぞれ肯定、否定の立場でお互いの意見を交換し合います。
解説ではキーワードが日本語 (英語) の形で書かれています。これらのキーワードと語い、フレーズを覚えるだけでも、英作文問題・二次試験に対して有効だと言えます。
時事トピック30は以下の項目です。
少子高齢化、検閲、犯罪防止と監視カメラ、死刑制度、夫婦別姓、女性の社会進出、早期退職制度、アウトソーシング、増税、防衛費、国連の役割、食糧の自給、原子力の利用、発展途上国援助、世界遺産、遺伝子組み換え作物、デザイナー・ベビー、動物の権利、宇宙探査、ロボット工学、世論調査、医療制度、再生医療、自然災害、再生可能エネルギー、生物多様性と絶滅危惧種、エコツーリズム、高等教育、奨学金、スポーツの役割
「国連の役割」の解説の一部に以下のことが書かれています。
現在の常任理事国は5カ国で、いずれも旧連合国 (former allies) である。常任理事国は安全保障理事官の決定に対し拒否権を持つが、昨今の紛争解決が迅速に進まないのも、拒否権の発動が原因であることが多い。
すでに知っているトピックでも、新たな発見があると思います。一読の価値はあります。
まとめ
英検1級英作文問題 改訂版は2016年度以降の新形式に対応し、英語でエッセイを書くときの注意点、模範解答、別冊の時事解説と充実しています。
英作文はもちろん、面接の時も役立ちます。
今回の記事は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。