大学入学共通テストの英語民間試験の認定結果

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大学入試センターは、2020年度にはじまる大学入学共通テストで受験可能な民間試験として、英検、TOEIC など7種類を認定しました。公平性や受験生の家庭の経済的負担、地域格差など問題もあります。

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認定された試験

大学入学共通テストの英語民間試験に認定された民間試験は、ケンブリッジ英語検定、実用英語技能検定(英検)、GTEC、IELTS、TEAP、TOEFL、TOEIC があります。
英検は従来型が参加要件を満たしていないと確認され落選しました。従来型は一次試験「書く」「読む」「聞く」の合格者のみが二次試験「話す」を受験できる仕組みで、一次試験不合格者は二次試験を受験できないことから、参加要件第4の3「1回の試験で英語4技能のすべてを(中略)評価するものであること」を満たしているとはいえないのが理由です。

「大学入試英語成績提供システム」の参加要件確認結果について | 独立行政法人大学入試センター

個人的な感想

個人的な感想としては、TOEIC と英検を受験した経験から、この2つを同じ基準で測ることに無理があります。TOEIC はあくまでビジネス英語に特化した試験で、早さとビジネスの現場での意思疎通に重きを置いてきます。そのため問題数が多いのと、語いは英検1級に比較すると平易です。語いの平易さについては間違って意思疎通してしまわないために重要ですし、ビジネスでは迅速な意思決定が求められますので試験内容としては妥当です。
一方の英検は身の回りの日常会話から、教養を深める社会的な題材、ビジネスシーンでも対応できるコミュニケーション力、実際に英語を使用する場面を想定しています。試験内容から明らかなように英語圏の大学講義にも参加できるよう幅広い題材があります。そのため英検1級で求められる語彙力は15,000といわれています。
ほかの試験は受験経験がまだないので分かりませんが、同じことが言えると思います。

英検の今後

まず確認しておきたいのは従来型がなくなるわけではないので、従来型を今まで受験していた方には影響はありません。
今後追加になる試験を順番に見ていきましょう。
公開会場実施(仮称)が一番従来型に近いです。「読む」「聞く」「書く」の3技能を Paper Based Testing (PBT) で実施、試験結果にかかわらず「話す」の二次試験が対面式で別の日に実施。1~3級まであり、試験会場は本会場 約400会場で実施。
1日完結型(仮称)は「読む」「聞く」「書く」の3技能を PBT で実施、同じ日に全員が録音式で「話す」の試験を受験。準1級~3級まであり、試験会場は47都道府県に会場設置。
英検CBT(仮称)は Computer Based Testing で「読む」「聞く」「書く」の3技能の試験を受け、同じ日に全員が録音式で「話す」の試験を受験。2~3級まであり、大都市19会場で実施。
英検は2019年度より公開会場実施(仮称)、1日完結型(仮称)を実施予定で、2018年8月より毎月、英検CBT (仮称)を実施予定とのことです。
個人的には PBT から CBT に全面的に移行していくのは英検にとっても機材設置等の予算がかかる関係でむずかしいのではないかと思います。
現在の ICT 社会においては CBT の方がふさわしいといえますし、手書きをすることや直接対面することが社会でなくなることはないでしょうから PBT も引き続き需要があります。
確実に言えることは英検は従来の方法を継承しつつ、新しくなるところもあることです。受験者としては受験機会が増えることは、その試験に慣れるということで良いことです。

「大学入試英語成績提供システム」参加要件 確認結果を受けて | 協会について | 公益財団法人 日本英語検定協会

経済的、地域格差

共通テストの英語民間試験、7種認定 公平性など課題多く :日本経済新聞

日経が指摘しているように、都市部の経済的に余裕のある家庭は有利で、地方の経済的に余裕のない家庭は不利です。
受験料を安くすることと試験会場を離島や僻地も含めて全国あまねく実施することは大変ではありますが、各種民間試験全団体がこの点について「検討中」にとどまっていることは気がかりです。

まとめ

大学入学共通テストの英語民間試験に認定された試験と英検の今後、個人的な感想を書いていきました。一番大変なのは受験生であることは間違いありません。一方、今までの試験がなくなるわけではありませんので、今まで試験対策に勉強されていた方は、あわてることはありません。経済的、地域格差をどう顧みて各種試験団体が対応するのか気になるところです。

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