英検1級1次試験2018年度第1回試験の感想と詳細1

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2018年6月3日実施の2018年度第1回英検1級1次試験を受験してきました。受験された方お疲れさまでした。試験を受けた感想と詳細を書いていきます。今回は筆記試験について書いていきます。

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変更点

TOEIC 試験と同じように、今回から問題冊子がシールでとじられています。

試験開始の合図がある少し前にシールの開け方を試験監督者が説明しました。

シールはミシン目がつけられています。

シールを開けるには鉛筆などの筆記用具を使うと開けやすいです。

ミシン目のおかげできれいに開けることができました。

感想

全体の感想を簡単に書いていきます。

筆記試験大問1は比較的解きやすかったです。勉強していたジャパンタイムズの出る順で最短合格! 英検1級単熟語EX出る順で最短合格!英検1級 語彙問題完全制覇や iPhone/iPad アプリのでた単 英検1級 完全版を使って勉強していたおかげです。
アプリのでた単 英検1級 完全版はアップデートされ今回の試験に含まれている語句が追加されました。それ以前にもアップデートがあり語句が追加されました。前回と今回の追加分を合わせると合計で4745語句になりました。

筆記大問2は手こずってしまいました。最初の長文は「陪審による法の無効」という内容でした。身近ではないテーマは内容を理解しにくくむずかしいと感じました。

筆記大問3の2番目と3番目の長文、それぞれ Biological Spandrels と The Mau Mau Uprising in Kenya がタイトルです。
生物学と歴史がテーマでどちらも英検1級では良く出題される内容です。
この2つの長文が、むずかしく感じました。

ここまでで残り時間40分くらい時間がありました。
英作文問題に30分ほどかけることができました。

英作文問題は Agree or disagree: Japan will benefit overall from hosting the 2020 Summer Olympics 「日本は2020年夏季オリンピックを開催することで恩恵を受けるか」という内容です。
これはジャパンタイムズの最短合格! 英検1級 英作文問題完全制覇を使って勉強していれば対応しやすいです。
ほとんど同じ内容の解答例があります。

書きやすいテーマなのでいろいろ書けると思いましたが、考えていくうちに理由に対する説明に一貫性がなくなってしまいました。

英作文を書き終わって筆記問題の残り時間が10分ほどありました。
残り時間を使って問題冊子に書かれているリスニング問題の選択肢を先読むすることができました。

リスニング問題はいつもどおりのむずかしさに感じました。
だからといって簡単というわけではなく、Part 3, 4 は疲れてきて集中力がなくなってきたこともあり、思ったようにいきませんでした。

筆記問題大問1

選択肢の番号と語句、日本語での意味は以下の通りです。

(1) 4 conflagration 大火災

(2) 1 retort と言い返す

(3) 4 valiant 勇敢な

(4) 2 perfunctory おざなりの

(5) 1 impunity 刑罰を受けないこと

(6) 2 plunder 略奪する

(7) 3 obtrusive 押しつけがましい

(8) 4 pallid 青白い

(9) 3 orator 演説者

(10) 4 capitulate 降伏する

(11) 2 caustic しんらつな

(12) 1 vent (感情を)発する

(13) 1 orchestrate 組織化する

(14) 4 diatribe 痛烈な非難

(15) 3 annotation 注釈

(16) 2 unscathed 傷を受けていない

(17) 1 contrive たくらむ

(18) 3 bout (病気の)発している期間

(19) 1 facetious こっけいな

(20) 4 recluse 人目を避けた

(21) 4 gloat (意地悪そうに)いい気味だと思う(over)

(22) 1 kick around (あれこれ)考えてみる

(23) 2 draw into 巻き込む

(24) 1 frown on 不賛成の意を示す

(25)  3 roll in (物・人が)転がり込む

筆記問題大問2

Jury Nullification

「陪審による法の無効」はタイトルから法律関係のテーマだとすぐにわかります。
陪審は被告が罪を犯してたとわかっていても無罪の評決を下すことです。
賛成の立場の主張から。
1850年代、アメリカ合衆国は南部は奴隷制に賛成で、北部では反対していた。
逃げ出した奴隷を哀れと感じ、助けた北部の人も刑を受けるという法の不正義があった。
(26)は 3 が正解

今度は批判する人の意見。
陪審は公平であるべきとされている。
一方、検察官は事件のあらゆる側面を認識しなければならない。
検察官はより多くの情報を入手することができる。
(27)は 2 が正解

陪審が「陪審による法の無効」の権利を行使するかどうかで同じ罪でも有罪と無罪にわかれる可能性がある。
批判者は司法過程における市民の信頼を損ない、民主主義の根幹を脅かすと主張する。
法律は一貫して適用されなければならない。
(28)は 4 が正解

The Greenland Colonies

グリーンランドに移民したバイキングについて。

第1パラグラフ1文目から空所があります。
fate は「運命」のほかに「悲運、悪運」という意味があります。
存在していた期間も10世紀から15世紀までと、現在では存在していないことになっています。
続く2文目では温暖化により厳しい気候が減ったと明るい内容。
しかし3文目、「1450年」と1文目で示した存在が終了した15世紀になっています。
「however しかし」植民地は消えた。
続く文で、「they clung to ...」「This rigid adherence to ...」とあります。
cling (習慣などが)しみこむ
adherence 堅持、執着
とあることから変化する状況に適応できなかった。
(29)の正解は 1

つづく第2パラグラフでは「however しかし」とこの説の人気が落ちている。
fall out of favor 人気を失う
最初に、seal (アザラシ)を食料にしていた痕跡があったこと。
次に空所があります。
次の文では「セイウチのキバが経済基盤になっていた。」
次の文で「why」なぜバイキングがグリーンランドを耕すだけに危険な旅をしたのか。
why と疑問をなげかけていることから、この説自体が不合理。
(30)の正解は 4

第3パラグラフで移民の運命については諸説あるけれど、衰退した主な要因については明確になっている。
「移民たちは生き残れなかった」の文に空所があります。
続く文は 1200年代と存在していた期間の中期のころについて。
気候変動により(セイウチの)キバの出荷が混乱したこと。
アフリカからゾウのキバが持ち込まれ、セイウチのキバの市場が崩壊した。
黒死病がヨーロッパで蔓延したことで、さらにセイウチのキバの市場が減少した。
1つでなく、さまざまな障害によりバイキングの生活が維持できなくなった。
ヨーロッパとの取引なしには生き残れなかった。
(31)の正解は 4

語句

walrus n. (動物)セイウチ
tusk n. (ゾウ・イノシシ・セイウチなどの)きば

筆記問題大問3

A Matter of Taste

フランスの社会学者 Pierre Bourdieu の 1979年の本 Distinction: A Social Critique
of the Judgement of Taste について。
社会的階級と文化的好みには相関関係がある。
perpetuating class disparity 階級の隔たりを永続させている
perpetuate 永続させる
reinforcing social class’s “system 社会的階級制度を強化している
文化的好みは社会階級を相関させている重要要素
(32)の正解は 4

続く第2パラグラフで金融的資本と文化的資本の「 analogy 類似」について。
どちらも社会的地位をあげることに役立つ。
the value … is dependent on scarcity.
価値は希少性に依存します。
scarcity 希少性
For example, で具体例が示されています。
(33)の正解は 1

第3パラグラフでは裕福で教養のある人たちが幅広い好みを持っている。
いわゆる cultural omnivores 文化的雑食者
Bourdieu の理論と矛盾しているように見える。
it appears と断言していないところがあることに注目。
その後の文では 「 However しかし」で始まり、社会学者 Bethany Bryson は彼らの寛容さについて説明しています。
よって Bourdieu の理論は支持していることになる。
(34) の正解は 2

Biological Spandrels

第1パラグラフでは「spandrel 三角小間」の説明。
St. Mark’s Basilica in Venice ベニスのサン・マルコ寺院はドーム型屋根でできている。
そのアーチのスペースに美しい「spandrel 三角小間」がある。
当初から意図的に作られたと見る人は思うが、教会建設300年後に施された。

第2パラグラフで、生物学者 Stephen J. Gould of Harvard University は「spandrel 三角小間」を生物進化の議論に用いるときの比喩とした。
Gould は生物の進化的特性は副産物であるという説明をするために spandrel という言葉を利用した。
例として「 blushing 顔を赤らめる」ことを引き合いにしている。
異性を引きつけ子孫を残すことを目的に「 blushing 顔を赤らめる」と思われる。
ここでも could appear と断言していないところに注目。
続く文で「 In fact, however, しかし、実際は」で始まります。
血液が酸素を運ぶことを可能にするタンパク質であるヘモグロビンが赤いため、血液は赤い。
ということで血液が赤いのは spandrel といえる。
(35)の正解は 2

第3パラグラフで、Gould は「 adaptationism 適応主義」に対抗するために spandrel を用いた。
He argued からの文で、この観点は全体的アプローチを含まないため湾曲してしまう。
skew ゆがめて記す
(36)の正解は 1
本文では a holistic approach となっているところ選択肢では as a whole と言いかえられています。

第4パラグラフでは 1970年代と今日の違いは DNA 配列による研究ができるようになったこと。
These can be instrumental から始まる文で、DNA 配列による研究により自然淘汰は特定の遺伝子なのか遺伝子群が作用しているのかを確立することができる。
(37)の正解は 4

語句
spandrel 三角小間

The Mau Mau Uprising in Kenya

ケニアで起きたマウマウ反乱について。
第1パラグラフから、1文目からケニアでのイギリスの植民地支配は「 violence 暴力」と「 injustice 不正」に特徴付けられる。
イギリスは現地人を抑圧し移住させることにより最高の農地を奪った。
政府は白人農家に対しては交通手段の提供、貨物輸送の補助、クレジットやローンの提供をする一方、現地人に対しては高い税金で苦しめていた。
(38)の正解は 2
そんなことしていたら反乱も起こるでしょう。
いつの時代にも、どの国にも国民を搾取する政府っているもんだね。

第2パラグラフから、1952年、キクユ族は Mau Mau (マウマウ)と呼ばれるグループを結成。
第3パラグラフから、イギリス当局は Mau Mau (マウマウ)を野蛮な部族と考えていた。
人種差別主義により、 Mau Mau (マウマウ)の巧みな戦術を見落としていた。
イギリスはキクユ族の道理にかなった不満を無視した。
(39)の正解は 3
イギリスはマウマウの結成や戦略を「 discounted 無視していた」
本文の fail と ignore が選択肢では discount に言いかえられています。

第4パラグラフから、3文目、イギリスは “villagization” (土地の村有化)と呼ばれる戦略を実施した。
続く文、この無害に聞こえる名前は、実際はキクユ族を強制的にフェンスと監視付きの場所に移住させた。
第5パラグラフから、1文目、村では栄養失調や飢えに苦しむ人がいた。
3文目、マウマウは、同情するキクユ族からの物資援助や人的援助を絶たれた。
(40)の正解は 4
キクユを助けると見せかけて、実際はマウマウが資源を手に入れないように意図されたものだった。
いつの時代にも、どの国にも、政策の名前だけはいいように見せかけて実態は庶民を苦しめる政府っているよね。

第7パラグラフから、2文目、文章は長くなっています。
一部の歴史家の主張によると、暴動は脱植民地化を加速させた。
次の文では、「 Yet しかし」で始まることに注目。
マウマウはケニア独立のずっと前に敗北していた。
(41)の正解は 2
マウマウの脱植民地化における役割は誇張されている。

英作文

Agree or disagree: Japan will benefit overall from hosting the 2020 Summer Olympics

英作文のトピックは「賛成か反対:日本は2020年夏季オリンピックの開催を通し全体的に利益を得る」という内容。

Agree にするなら

公共交通機関や道路の拡張による生活の利便性向上
外国人観光客が増えることによる経済活性化
外国人とふれあう機会が増え、国際関係が良くなる

Disagree にするなら

テロなどの治安の悪化
使われなくなる施設の維持費などによる経済的負担
開催期間中の交通渋滞による交通事故、環境汚染

などがあげられます。

わたしは Agree にして上記の理由で書いていきました。

英検の解答例は Disagree で書かれていたのが印象的です。

また英検1級は通常世界的に関心の高いことを取り上げられます。
今回のように、日本国内についてのトピックは珍しいです。

同じ日に開催された 2018年度第1回の英検準1級の英作文のトピックは

Is it acceptable to keep animals in zoos?
動物たちを動物園に収容することは容認できることか?

とこちらの方が英検1級に出題されそうなトピックと思いました。
もちろん準1級は POINTS があり、推奨される作文の長さも1級に比べれば短いです。

これは、今後トピックに関しては、1級と準1級とで差がなくなると思った方がいいです。
そう考えると準1級をこれから受験する人は大変になりますが、逆に言えば1級の準備もしやすくなるといえます。

まとめ

試験本番では緊張したり時間を気にしたりして思うように実力を発揮できなかったけれど、家に帰って落ち着いてじっくり復習すると意外とできたりするものです。
英検1級はむずかしいですが、それだけ英語4技能を高めることができます。
あきらめずにがんばりましょう。
リスニングについては今後記事にしていきます。
今回の記事は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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